2021年9月17日金曜日

オーケツとキュー

むかしむかし、あるところに怪人オーケツがいました。

オーケツはイノシシが住むような、きったない洞窟に住んでいました。

においもほぼイノシシで、エサのにおいがしない限り、めったに目を覚ましません。

手があるのに手を使わず、足があるのに足を使わず、いつもゴロゴロして毎日を過ごしています。


一方、全身がエメラルドグリーン色をしてオレンジ色のマフラーを巻いた、とてもかわいいインコがいました。

名前はキューと言って、オーケツの話相手になってくれるのはキューだけでした。

というのも、オーケツはとてつもなく頭が悪いので、フーとしか話すことができなかったのです。

オーケツは、上の口からも下の口からも、器用にフーというのです。


ある日、キューがオーケツに向かって言いました。

「オーケツよ、オマエはさっきからケツしか掻いてないじゃないか。一日ケツを掻いているつもりかい?」

オーケツは返事をする代わりに、下の口からフーを出しました。

「オーケツよ、ケツばっかり掻いていないで、たまには人の役に立つようなことをしたらどうなんだい?」


これを聞いたオーケツは、イライラしてさらにケツが痒くなりました。

オーケツの下の口は、みるみる赤くなっていき、やがて大噴火を起こして辺り一面を溶岩で満たしました。

哀れキューは、飛べないので溶岩に飲み込まれてしまいました。

オーケツは「フー」(バカめ、一ケツ二鳥だな)と言って、焼き鳥になったキューを食べてしまいました。


次の日、オーケツはいつものように目を覚ましました。

すると、すぐそばからケケケケと笑い声が聞こえてきました。

「フーフー」(シメシメ、またバカなインコどもがおるわいな。大噴火を起こして食ってしまおう。)

しかし、普段はビックリするような大噴火が起きるのに、今日は不思議と静かです。


「フー」(おかしいな、おかしいな。)

すると、今度はオーケツ自身の口から「ケケケケ」という声が聞こえるではありませんか。

「フーフー」(おかしいな、おかしいな、口からケケケケおかしいな。)

しかし、オーケツはバカなので、また眠ってしまいました。


タワマンから今日も楽し気な「ケケケケ」という声が聞こえてきます。

誰も教えてないのにね、お利巧ですね、キューさんは。

キューさんは今日も脂身をガツガツ食っています。

そう、キューさんは怪人オーケツを見事倒し、オーケツは脂身になって毎日毎日キューさんに食われているのでした。


めでたしめでたし

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