むかしむかし、あるところに怪人オーケツがいました。
オーケツはイノシシが住むような、きったない洞窟に住んでいました。
においもほぼイノシシで、エサのにおいがしない限り、めったに目を覚ましません。
手があるのに手を使わず、足があるのに足を使わず、いつもゴロゴロして毎日を過ごしています。
一方、全身がエメラルドグリーン色をしてオレンジ色のマフラーを巻いた、とてもかわいいインコがいました。
名前はキューと言って、オーケツの話相手になってくれるのはキューだけでした。
というのも、オーケツはとてつもなく頭が悪いので、フーとしか話すことができなかったのです。
オーケツは、上の口からも下の口からも、器用にフーというのです。
ある日、キューがオーケツに向かって言いました。
「オーケツよ、オマエはさっきからケツしか掻いてないじゃないか。一日ケツを掻いているつもりかい?」
オーケツは返事をする代わりに、下の口からフーを出しました。
「オーケツよ、ケツばっかり掻いていないで、たまには人の役に立つようなことをしたらどうなんだい?」
これを聞いたオーケツは、イライラしてさらにケツが痒くなりました。
オーケツの下の口は、みるみる赤くなっていき、やがて大噴火を起こして辺り一面を溶岩で満たしました。
哀れキューは、飛べないので溶岩に飲み込まれてしまいました。
オーケツは「フー」(バカめ、一ケツ二鳥だな)と言って、焼き鳥になったキューを食べてしまいました。
次の日、オーケツはいつものように目を覚ましました。
すると、すぐそばからケケケケと笑い声が聞こえてきました。
「フーフー」(シメシメ、またバカなインコどもがおるわいな。大噴火を起こして食ってしまおう。)
しかし、普段はビックリするような大噴火が起きるのに、今日は不思議と静かです。
「フー」(おかしいな、おかしいな。)
すると、今度はオーケツ自身の口から「ケケケケ」という声が聞こえるではありませんか。
「フーフー」(おかしいな、おかしいな、口からケケケケおかしいな。)
しかし、オーケツはバカなので、また眠ってしまいました。
タワマンから今日も楽し気な「ケケケケ」という声が聞こえてきます。
誰も教えてないのにね、お利巧ですね、キューさんは。
キューさんは今日も脂身をガツガツ食っています。
そう、キューさんは怪人オーケツを見事倒し、オーケツは脂身になって毎日毎日キューさんに食われているのでした。
めでたしめでたし
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