松林１つで

あらあなた、どこからいらしたの？東京？東京のどちらからいらして？うちの子なんて中央区に住んでいますから、私はもう何度も東京に行っているんですのよ。中央区、あなたご存じ？知っているわけないじゃない。嘘おっしゃいよ。マンションに住んでいるのよ、うちの子は。あなた、もしかして出身、足立区じゃない？ほら、そうでしょ。そう思ったのよ。足立区って顔をしているわ。うちの子に近づくんじゃないよ。バカが移るわ。ところであなた、国立博物館は行ったことがあるの？あら、ある？ないでしょう？この絵を知ってらっしゃる？見たことある？知らないでしょう？知っている？嘘つきなさいよ。そんなバカ面していて、あなた、絵を見るって顔していないわよ。ボンクラがよ。ふざけるのもたいていにおし。このお菓子、天皇陛下に献上しているんで、あなたみたいなバカ面には到底喰えた代物ではないんでございますの。え、買う？バカ言ってんじゃないよ、このボケが。調子ぶっこいてんじゃないよ、天皇陛下が召し上がる菓子なんだよ。高級菓子なんですから、まあまあ、あら、あなたの口になんて合うわけないじゃないの、オホホホホ。冗談がお上手だわね。麩菓子がお似合いさまずわね、オホホホホ、オホホホホ。さあさあ、遊びはこれまでよ。さっさとお帰りなさい、バカものが。二度とこの店に顔を出すんじゃないよ。